ICD-10とDSM-5:精神疾患の診断基準を徹底比較!

精神疾患に関する基礎知識

こんにちは、でんです。
精神疾患の診断を受ける際、「ICD-10」や「DSM-5」といった言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。これらの言葉は、精神疾患を分類し、診断するための国際的な基準です。この記事では、ICD-10とDSM-5の概要、特徴、そして両者の違いについて詳しく解説していきます。

ICD-10とは?

ICD-10は、世界保健機関(WHO)が作成した「国際疾病分類」の第10版です。身体疾患から精神疾患まで、あらゆる疾病を網羅した国際的な診断基準で、医療機関や行政機関で広く利用されています。

ICD-10の目的と役割

ICD-10は、世界中の医療機関や研究機関で、疾病の発生状況を統一的に把握し、比較分析するために作られました。この国際的な共通言語によって、以下のようなことが可能になります。

  • 疾病の発生状況の把握: 各国の疾病発生状況を比較し、健康問題の優先順位付けや予防対策に役立てる。
  • 医療情報の標準化: 患者情報の記録や医療統計の集計を統一化し、医療の質の向上に貢献する。
  • 保健政策の立案: 疾病の流行状況や治療効果を評価し、効果的な保健政策を立案する。

ICD-10の構造と特徴

ICD-10は、アルファベットと数字の組み合わせで疾病を分類しています。例えば、「F」は精神疾患と行動の障害を示し、「F32」はうつ病を意味します。

  • 階層構造: 疾病を大分類から小分類へと細かく分類することで、より詳細な診断が可能。
  • 柔軟性: 医学の進歩に合わせて、定期的に改訂が行われ、新しい疾病や診断基準が追加される。
  • 多言語対応: 世界の主要な言語に翻訳されており、各国で利用されている。

ICD-10の利用例

  • 医療機関: 患者への診断、医療記録の作成、保険請求
  • 行政機関: 疾病統計の作成、保健政策の立案、医療資源の配分
  • 研究機関: 疫学研究、臨床研究

DSM-5とは?

DSM-5は、アメリカ精神医学会が作成した「精神障害の診断と統計マニュアル」の第5版です。精神疾患に特化した診断基準で、精神科医が診断を行う際に最も参照されることが多いマニュアルです。

DSM-5の目的と役割

DSM-5は、精神疾患の診断基準を統一し、精神医学の研究や臨床の向上に貢献することを目的として作成されました。DSM-5を使用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 診断の客観性: 精神疾患の診断基準を明確化することで、異なる精神科医でも同じ患者に対して同じ診断を下せる可能性が高まります。
  • 治療法の選択: 診断に基づいて、適切な治療法を選択することができます。
  • 研究の推進: 統一された診断基準を用いることで、精神疾患に関する研究がより正確に行われ、新たな治療法の開発に繋がります。
  • 医療者間のコミュニケーション: 異なる医療機関の医療者間でも、患者に関する情報を共有しやすくなります。

DSM-5の構造と特徴

DSM-5は、診断カテゴリー診断基準によって構成されています。各診断カテゴリーには、その疾患の定義、症状、診断基準などが詳細に記載されています。

  • 多軸評価: DSM-IVまでは5つの軸で評価していましたが、DSM-5では軸評価が廃止され、より簡潔な診断システムになりました。
  • スペクトラム概念: 多くの精神疾患が、軽度から重度まで連続的なスペクトラムを持つと考えられるようになりました。
  • 文化的な側面: 文化的な要因が精神疾患の症状や表現に与える影響についても考慮されています。

DSM-5の利用例

  • 精神科医: 患者への診断、治療計画の作成
  • 心理学者: 精神療法の実施、心理評価
  • 社会福祉士: 精神疾患を持つ方の支援
  • 研究者: 精神疾患に関する研究

ICD-10について、さらに詳しく解説します

ICD-10の目的と役割

ICD-10は、世界中の医療機関や研究機関で、疾病の発生状況を統一的に把握し、比較分析するために作られました。この国際的な共通言語によって、以下のようなことが可能になります。

  • 疾病の発生状況の把握: 各国の疾病発生状況を比較し、健康問題の優先順位付けや予防対策に役立てる。
  • 医療情報の標準化: 患者情報の記録や医療統計の集計を統一化し、医療の質の向上に貢献する。
  • 保健政策の立案: 疾病の流行状況や治療効果を評価し、効果的な保健政策を立案する。

ICD-10の構造と特徴

ICD-10は、アルファベットと数字の組み合わせで疾病を分類しています。例えば、「F」は精神疾患と行動の障害を示し、「F32」はうつ病を意味します。

  • 階層構造: 疾病を大分類から小分類へと細かく分類することで、より詳細な診断が可能。
  • 柔軟性: 医学の進歩に合わせて、定期的に改訂が行われ、新しい疾病や診断基準が追加される。
  • 多言語対応: 世界の主要な言語に翻訳されており、各国で利用されている。

ICD-10とDSM-5の違い

ICD-10とDSM-5は、どちらも精神疾患の診断基準として使用されますが、その目的や構造に違いがあります。

比較項目ICD-10DSM-5
作成機関世界保健機関(WHO)アメリカ精神医学会
対象疾患全ての疾病(身体疾患、精神疾患など)精神疾患に特化
目的疾病の発生状況の把握、医療情報の標準化精神疾患の診断と治療
構造アルファベットと数字の組み合わせ診断カテゴリーと診断基準

ICD-10は、より広範な疾病を網羅し、国際的な医療統計や保健政策の策定に利用されるのに対し、
DSM-5は、精神科医が患者を診断し、治療計画を立てる際に利用されることが多いです。

なぜ両方が必要なのか?

これは詳細さのレベルが異なる為です。
DSM-5は、精神疾患に特化しており、より詳細な診断基準が記載されています。ICD-10は、さまざまな疾病を網羅しているため、精神疾患に関する記述はDSM-5ほど詳細ではありません。
その為、多くの医療機関では臨床の場でDSM-5を使用することが多く、行政への報告書にはICD-10基準での記載が求められています。

まとめ

ICD-10とDSM-5は、どちらも重要な診断基準ですが、その役割は異なります。ICD-10が世界全体の健康状況を把握するためのツールであるのに対し、DSM-5は、個々の患者の精神状態を評価するためのツールです。両者を適切に使い分けることで、より良い医療を提供することができます。

補足

今回はICD-10でお話ししましたが、現在ICDの最新版はICD-11となっており、2022年に日本でも使用が開始されています。
ではなぜ今回ICD-10をお話ししたかというと、現場レベルで使用されているのがICD-10だからです。
ICD-10は1995年から使用されて来たので、三十年近くこの分類で統計やその他諸々の形が出来上がっている状態です。
新たに出たICD-11は、その分類コードが大きく変わったこともあり、すぐに全体で足並みをそろえるのが難しいという現状があります。
いずれは順次置き換わっていくかと思いますが、しばらくはICD-10を目にする機会の方が多いと思われます。

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